睡眠部屋

超不定期日記です

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『君と僕の寂しい生活』×2(前)

 通い馴れた喫茶店の、いつもの席。姐さんはいつものようにブラックのエスプレッソを
すすりながら吐息を一つ。見ているだけで癒されるのは、乳が大きいからという理由だけ
ではないだろう。何か人を和ませる、独特の雰囲気がある。
「なぁ?」
 苦い珈琲とは対照的な、この店の名物である激甘バナナタルトをフォークで崩しつつ、
「あの娘って体が弱いん?」
 言って口に運ぶ。
「いや、別に」
 幽霊に体が弱いとか強いとかがあるかは分からないが、人間のの基準で言ったら強い方
だと思う。毎日辛辣な言葉を吐き、殴る蹴るを繰り返し、パンツを見せ付けてくるのだ。
これが弱い訳がない、今までの人生の中でも指折りの豪の者だ。
 何故そんなことを問うてきたのかと視線を向ければ、姐さんも不思議そうな顔をして、
「だってアレ、身体補助用の浮遊プログラムやろ?」
 なるほど、そう見えた訳か。
「違いますよ、あいつは幽霊なんです」
「は?」
 数秒。
 姐さんは少し首を傾げ、頷き、おもむろに携帯電話を取り出した。今時珍しい液晶型の
画面に映っているのは近所の精神病院の名前、どうやら何か誤解をしたらしい。と言うか
何故確認もせずに行動に移したのだろうか。姐さんの中での僕は、どんな評価なのだろう。
 そう複雑な気分になっている間に電話は繋がったらしく、
「あ、はい。そうです、ちょっとウチの知り合いが。はい、まだ危害は」
「まだって何ですか?」
「すいません、興奮してるみたいなので一旦切ります」
 携帯をしまうと姐さんは僕の方を向き、
「すぐに救急車が来るから安心やで?」
 見慣れた笑みの筈なのに、とても殴りたくなった。
「だいたい、僕は正常ですよ?」
「うんうん、そうやね。君以外の全部がおかしいだけやもんね?」
「信じて下さいよ!?」
 無言で目を反らされた。
 そのままバナナタルトの二口目を口に入れ、うま甘ッと眉根を寄せた。
「食わん?」
「要りません」
 僕も以前興味本意で食べたのだがあるが、顎が外れるかと思う程に甘かった。甘いもの
は別に苦手ではないし、食い物を粗末にしてはいけないという義両親の教えを守り続けて
きた僕だが、流石にこれはキツかった。これはもう、常人の許容範囲を超えている。
 いや、そんなことよりも、
「話を反らさないで下さいよ。今はあいつの話でしょう」
「分かっとるって。で、あの娘は何なん?」
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  1. 2007/06/18(月) 00:14:54|
  2. SS
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