睡眠部屋

超不定期日記です

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『君と僕の寂しい生活』×0(前)

 有名な子供向けの歌にあるように幽霊なんて存在しないと思っていたし、僕はこれから
一生その考えを改めることも無いと思っていた。昔の科学者が実験で人の魂の重さを計測
したりもしたらしいけれど、それも単なるデマゴキーだと思っていたし、化学万歳なこの
時代においてナンセンスだと思ってはホラー話に怯える友人を笑っていたものだ。
 何故こんな唐突にこんなことを考えたかといえば、目の前に幽霊が居たからだ。
 学校を無事に卒業して、家庭の事情で進学を止め、他地区に来たまでは良かった。無事
安いアパートを借りて慎ましく暮らし、これから親孝行を出来るだろうとしていた矢先の
ことなので、思わずテンションが下がってしまうのも無理は無いだろう。夢の一人暮らし
と親への感謝が一瞬にして粉々に打ち砕かれ、僕は思わず片膝を着いた。
「何で、こんなことに」
「気の毒だが、私にも事情があるんだ。だから、黙って帰れ」
 そう、幽霊が居ることだけならば問題はあまり無いのだ。こちとら十八年間もその存在
を無視して生きてきたのだから、これからもそうやって生きていけば良い。だが相手にも
事情があると言われれば、どうにかしたくなってしまう。無理に追い出す気が毎秒ごとに
減ってきて、代わりに助けたいという気持ちが沸き上がってくるのだ。三つ子の魂百まで
という諺が存在するように、この損な性分は多分死ぬまで治らないのだろう。

 それでも、今回は諦める訳にはいかない。これまで貧しいながらも、僕を養ってくれた
義両親の優しい笑みが浮かんでくる。恩返しを出来る機会を逃すのは、それこそ不義理と
いうものだろう。寂しそうにしながらも、暖かく送り出してくれた家族に顔向け出来ない、
そんな馬鹿野郎が息子では義父さんも義母さんも不幸すぎる。
「なぁ、どうしたら入れてくれるんだよ?」
「だから、駄目だと言っとるだろうが。事情があるんだ」
 堂々巡り、とは正にこのことだ。
「大体、事情がある事情があるって何なんだ?」
 言うと、彼女は目を伏せた。問題解決には大事な部分だが、これはもしかして聞いては
いけないことだったのだろうか。幽霊に血流があるのかは分からないが、とても辛いこと
なのか顔を赤く染めている。なんて失礼なことを言ってしまったのだろう、と後悔した。
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  1. 2007/01/13(土) 15:05:34|
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